Awing労働トラブル予防相談所
経営者・人事労務担当者向けの労働トラブル予防・解決事例集。
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深夜帰宅時のタクシー代は「賃金」になるのか?

【Question】

財務省などをはじめとした省庁の人たちの「居酒屋タクシー接待」が報道されていますが、あんな優遇されたサービスがあるなんて・・・・なんともうらやましい限りですね。
ところで、当社は民間企業ですが、業務上どうしても帰宅が遅くなり終電が過ぎてしまった場合には、タクシーチケットを渡して会社の費用負担で帰宅させています。従業員には別途公共交通機関の実費相当額である通勤手当を支払っていますが、このタクシー代の負担については会社の費用として処理してもかまわないのでしょうか?

「居酒屋タクシー」はタクシー運転手側からすれば一種の営業努力なのでしょうが、(給料とは別の)税金を使って帰宅しておいてビールや現金を受け取るとは・・・・ふてぇ野郎ですね。

それはさておき、ご質問の「深夜帰宅時のタクシー代」ですが、さほど頻度が少なく、業務の都合でその時だけやむを得ずタクシーを利用させるような場合には実費弁償の範囲であり「労務の対償」とはいえないと考えられますので、会社の経費(旅費交通費または福利厚生費)として処理してかまわないと考えられます。

 しかし、「タクシーで帰宅することが常態化している」ような場合には話は異なります。

タクシー帰宅が常態化しているような場合には、一種の「現物支給の通勤手当」という解釈となる可能性が高く、賃金の範疇に含まれる可能性があります。そうすると、平均賃金や労働保険料・社会保険料の計算の際にはこのタクシー代相当額を「賃金」として織り込む必要が生じることとなり、また、通勤距離に応じた通勤手当の非課税枠を超過するばあいには所得税・住民税の課税対象とされます。(これは、社長や役員、部長のような経営幹部についても同様です。)

この、どこまでの範囲が「常態化」といえるかどうかは実態判断に委ねられると思います。しかし、年150回以上という豪快な利用方法をしていれば、民間企業であれば「賃金扱い」が求められることとなります。

なお、民法上では、「労働」という債務は「持参債務」として考えられており、労働債務を果たす(=所定の場所へ出勤する)ためにかかる費用は労働者が負担すべきものであるとされています。したがって、労働基準法や労働社会保険関連の法律では、「通勤手当は賃金に含まれる」としているわけです。一方、所得税法では「通勤手当をもらっていても、通常の範囲であれば通勤のために支出しているわけだから実際の所得には影響しない」として、一定の範囲の通勤手当は非課税としているという考え方になります。

ちなみに、今回問題となっている公務員の皆々様については、残念ながら(?)労働基準法や社会保険各法の適用を受けませんので、そもそもタクシー代が賃金とされるかどうかの判断は不要となります。しかし、所得税法だけは公務員でも民間企業の従業員でも等しくかかりますので、過剰なタクシー代については「給与所得」であるとされる可能性は残りますので、この点から見ても「問題あり」と言うべきではないかなと感じます。

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