中小企業緊急雇用安定助成金受給に向けた実務ポイント
中小企業緊急雇用安定助成金の実務でお悩みの皆さまへ
このページでは、公表資料だけではわからない「中小企業緊急雇用安定助成金」の実務上のポイントを解説いたします。ご質問がある方はこのページ下部のコメント欄にてご質問をお寄せください。
なお、本ページに記載されている内容は、全て当事務所が実務を進める中で独自に収集した情報に基づいております。実務上の取り扱いについては担当窓口によって異なる場合がありますので、実際の届出・申請手続を行う際には、必ず管轄のハローワークへご確認をお願いいたします。また、愛知県の方は下記の助成金情報ページより「よくある質問」についても御参考いただけると分かりやすいかと思います。
>>雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金) (愛知労働局)
「質問コーナー」もご利用ください!
また、当Webサポートセンターでは、皆さまの疑問・質問にお答えする「質問コーナー」を解説いたしました。中小企業緊急雇用安定助成金に関する様々な疑問やお悩みのある方は、こちらの「質問コーナー」もぜひ御活用ください。
◆初回の計画届を行う際の提出書類(06.2.13更新)
【Question】
初めて休業等計画届の提出を行う際には際には、どれくらいの書類を準備しなければならないのでしょうか?また、様式などは決まっているのですか?
中小企業緊急雇用安定助成金に関する休業等計画届の提出を行う際には、所定様式の「休業等計画届」のほか、下記の添付書類が必要となります(愛知労働局の場合の例です)。なお、所定様式・参考様式はこちらにある「様式集」からダウンロードできます。
(1)休業等実施計画届 [所定様式で作成:様式101号(1)]
[添付書類] 無し
- 事前に届け出る休業等計画届の本体となるものです。所定の様式で作成します。
- 通常は賃金締切期間ごとの1ヶ月ずつ区切って作成を行います。
- 所定場所への押印のほか、捨印を押印しておくと提出時に指摘される不備の訂正がその場で可能となります。
(2)事業活動及び雇用の状況に関する申出書 [所定様式で作成:様式101号(2)]
[添付書類]「直近3ヶ月分及び前年同月分」又は「直近6ヶ月分」の事業状況確認書類 [任意様式可]
- 事業活動の低下と回復見込みを示すための文書です。初回の計画届を行うのみ提出します。
- 確認書類は生産量で表示する場合には生産月報、売上高で表示する場合には月次損益計算書や試算表が必要となります。なお、直近3か月分に前年同月分の情報が既に記載されている場合には、別途の添付は不要とのことです。
- 申出書自身には、所定場所への押印のほか、捨印を押印しておくと提出時に指摘される不備の訂正がその場で可能となります。
(3)休業・教育訓練実施予定表 [任意様式で作成(参考様式あり)]
[添付書類] 特になし
- (1)で記載した賃金締切期間中の所定休日、休業、教育訓練などの実施状況にて作成します。
- 指定の様式ではありませんが、記号の使い方や記載内容は参考様式に合わせることが望ましいでしょう(縦横を入れ替える程度はOKでした)。
- 上記の実施予定について事業主として証明するために、代表取締役の記名押印が求められます。
- 本書面を1ヶ月ごとに作成する個別の休業等協定書(実施協定書)を兼ねてもかまいません。(この場合には、従業員代表者と会社代表者の双方の記名押印が必要ですが、押印したもののコピーで可とのことです)。
(4)休業・教育訓練に関する労使協定書(写) [任意様式で作成(参考様式あり)]
[添付書類] 労働者代表選任届(写)、委任状又は選任手続に関する資料(写し可)[任意様式で作成(参考様式あり)]
- 中小企業緊急雇用安定助成金を受けるためには、休業・教育訓練の実施にあたって過半数組合又は従業員の過半数から選任を受けた代表者との労使協定を締結することが必要です。
- この労使協定には、休業の時期(対象期間・日数)、対象者(対象範囲、人数等)、休業手当の支払基準(基準額、支給率等)を記載します。また、教育訓練を行う場合には、教育訓練の実施に関する事項(具体的な実施計画等)も記載する必要があります。
- この労使協定は休業等計画届ごとに作成することが求められています。ただし、実務上の取扱としては、例えば1年間~3年間の期間にて休業等に関する基本的な取り決め(期間や大まかな対象範囲、休業手当の支払基準など)を「基本協定書」として締結し、各月の具体的な日数や人数については(3)の実施予定表を拡張して「休業等実施予定表兼個別協定書」の形で作成してもOKでした。(この場合には、基本協定書の写しについても毎回の計画届提出時に提出することになります。)
- 休業を実施する事業所に所属する従業員の過半数以上を占める労働組合がある場合には、労働組合(の代表者)と締結した労使協定書のみの提出で良く、添付書類は必要ありません。
- 休業を実施する事業所に所属する従業員の過半数以上を占める労働組合がない場合には、従業員の中から「この労使協定を締結する為の労働者代表」を選任しなければなりません。この労使協定締結のための労働者代表については、「委任状」と呼ばれる回覧形式の文書に従業員の署名又は記名押印(原則全員の記入)を行うよう指導が行われていますが、この様式でなくても「記名投票」であれば投票用紙(の縮小コピー)を添付すれば受理してもらえます。また、労働者代表を選んだ際には「労働者から会社あての労働者代表の選任届」を作成し、写しを添付する必要があります。(この労使協定に関する従業員代表の選び方については、以下の「労使協定の選び方」も参考にご覧ください。)
- 労使協定書は「毎回提出」となりますが、労働者代表の選任に関する添付資料は「初回のみの提出」となります。
(5)年間休日カレンダー 又は 年間休日表 [任意様式で作成(参考様式あり)]
[添付書類]特になし
- 事業所の年間休日日数が分かる資料として、年間休日カレンダー又は年間休日表の提出が求められます。当年度及び前年度の2年度分を毎回提出することが必要です。
- 既に事業所で年間勤務カレンダー等を作成している場合には、作成しているものをそのまま提出してかまいません(年度の開始・終了月の変更も必要ありません)。また、同一事業所で複数のカレンダーがある場合には全て提出します。
- 事業所で年間カレンダーを作成していない場合には、参考様式を参考にしながら「年間休日表」を作成し、提出します。
(5)勤務シフト表(交替勤務がある場合のみ)[任意様式で可]
[添付書類]特になし
- 交替勤務がある場合には、会社で作成している勤務シフト表を提出します。
- もし勤務シフト表を作成していない場合には、「休業・教育訓練実施予定表」を参考に、個人ごとの勤務シフトがわかるような資料を作成します(兼用としても差し支えないようです)。
(6)その他各種添付資料[任意様式で可]
- 初回の休業等実施計画届の提出の際には、全体の添付書類として、以下の資料の提出が求められます。
- 直近1か月分の賃金台帳、出勤簿(タイムカード)
- 定款及び商業登記簿謄本(商業登記記載事項全部証明書) ※法人の場合
- 会社組織図(各部署別人員のわかるもの)
- 会社案内(パンフレット等)
- 就業規則、給与規定
- 前年度の労働保険確定・概算保険料申告書(控)及び領収書
(労働保険事務組合委託事業所の場合には、労働保険料算定基礎賃金等の報告、労働保険料納入通知書)
- 2回目(2ヶ月目)以降の休業等実施計画届を提出する場合には、上記書類の添付は原則として不要です。ただし、定款、商業登記簿謄本、就業規則、給与規定の内容が変更した場合には提出が求められます。
- 「前年度の労働保険確定・概算保険料申告書(控)及び領収書」については、年度更新又は増加概算申告を行った場合には新しいものの提出が必要です。
◆認められる教育訓練の範囲(09.2.6更新)
【Question】
教育訓練を行った場合には助成金が上乗せ加算となるとのことですが、どのような内容の教育訓練であれば、この対象となるのでしょうか?
雇用調整助成金ガイドブック(中小企業緊急雇用安定助成金の説明でも用いられます)によると、中小企業緊急雇用安定助成金の上乗せ支給が行われる教育訓練は「職業に関する技能、知識又は技術を習得又は向上させることを目的とする」ものであるとされています。このうち「職業に関する」とは、現在就いている職業に直接関係する者に限らず、現在就いている職業に関連する周辺の技能、知識に関するものや配置転換をする場合に必要な訓練も含まれるとされています。
ただし、この教育訓練には「就業規則等に基づいて通常行われる教育訓練」「職務の遂行上必要不可欠な教育訓練(法令等に基づく教育訓練など)」「定年退職後の職場や自衛の為の教育訓練」は認められません。
残念ながら、ハローワーク等の担当窓口で相談してみても、実務上の取扱は「個別ケースごとに判断する」となっているようで、具体的に何がOKなのかを教えてもらうことは難しい状況です。私が把握している範囲では、以下のような取扱となっているようです。
- 概ねOKと思われるもの
⇒ 製造現場で使用している機械の応用的な操作・利用法を習得する内容のもの
⇒ 製造現場で使用している原材料に関する知識を深めるもの
- ある程度可能性が高いと思われるもの
⇒ 品質改善に関する技術・知識を身につけるもの
- グレーゾーンであると言われたもの
⇒ 安全衛生に関する事故防止パトロールや指差呼称などの技術に関するもの
- NGとされたもの
⇒ 現在使っている機械そのものに関する研修(例:旋盤工が旋盤についての研修を受ける場合)
⇒ ISO9001/14001に関するもの(会社としての取り組みであり、職業能力に該当しない)
⇒ 安全衛生に関する法定教育(職務の遂行上必要不可欠な教育訓練)
⇒ 毎年行っている管理職研修・リーダー研修(通常教育に該当)
⇒ 単純な接客に関する指導(東京情報:職業能力の開発に該当しないとのこと)
◆労使協定締結の為の代表者の選定(09.2.6更新)
【Question】
中小企業緊急雇用安定助成金を受給するためには、休業の実施にあたって労働組合がない場合には従業員の過半数以上の代表者との労使協定を締結する必要があります。この労使協定の締結を行う従業員代表者はどのように選べばよいでしょうか?36協定や就業規則変更の際の従業員代表者と同じでかまわないでしょうか?
中小企業緊急雇用安定助成金の受給手続の中では、休業等実施計画届を提出する際に「休業に関する労使協定」の提出を求められます。この労使協定は通常の労使協定と同様に「従業員の過半数が参加する労働組合(の代表者)」か「従業員の過半数以上を代表する者として選任されたもの(以下、従業員代表者)」と締結する必要があります。
このうち、「従業員代表者」と労使協定を結ぶ際には、労使協定だけでは足りず「従業員代表者として選ばれたことを示す書面」を求められます。申請窓口でもらえる既定様式では従業員代表者として選ぶ者の職氏名など一定の事項が書かれた「委任状」を作成し、回覧などによってそれぞれの従業員が署名又は記名押印することを求めております。(行政内部の通達によるものとのことです)
しかし、このような方法による従業員代表の選任は本来「イレギュラー」な方法であり、申請者サイドが必ずしもこれに従う必要はありません(当事務所では、委任状形式での選任手続の要請は「行き過ぎた行政指導」であると考えております。実際に、会社の状況によっては現実的に困難な場合もあることを把握しております。)それでも、申請窓口側の通達では「誰が信任したのかどうかについて確認を行いたい」という強い意向があるようですので、最低限「記名投票」による選任手続にて行っておくことが望ましいと考えられます(この場合には、記名投票の用紙が「回覧委任状」の代わりとなりますので、投票用紙の縮小コピー等を代わりに添付してください。)
また、過半数以上の信任で足りるはずの労使協定の従業員代表者ですが、ハローワークからは「原則として全従業員の署名同意が必要」との指導がなされる場合があります。もちろん全従業員から同意が得られるに越したことはありませんが、会社の状況によっては困難な場合もあるでしょう。この場合にも、適切に選任された従業員代表者と締結した労使協定は、選任にあたって信任しなかったものを含めて従業員全体に効力が及びますので、信任しなかったことによって休業対象者から外す必要はなく、また、助成金の対象者から外す必要も全くありません。(むしろ、信任しなかったことによる不利益取扱は禁止されていますので、休業対象者から外すこと自体が問題とされる場合があります。)
◆「恒常的な残業」に対する残業相殺の適用ついて(09.2.13追加更新)
【Question】
当社では、これまで2班2交替による24時間操業を行っており、日々3~4時間程度の残業が発生しています。今回、中小企業緊急雇用安定助成金の支給申請を行うに当たって、残業実績の申し立てを行わなければなりませんが、このような残業は「恒常的な残業」として相殺対象から除外できるでしょうか?
雇用調整助成金ガイドブック(中小企業緊急雇用安定助成金の説明でも用いられます)によると、休業実施期間中に残業を行った場合には、休業対象者であるか否かに関わらず休業時間数との相殺調整を行うようにされています。
しかし、このうち「①保全業務、月例検査、定期清掃や棚卸しなど恒常的なものや、休日にしか対応できないもの」や「②計画届の提出時に予期し得なかった突発的なもの等やむを得ず発生する時間外労働」については、相殺対象としない場合があるとされています。これらについては、支給申請書を提出する際に添付する「残業実績申立書」にて内訳とともに説明を記載することとなっています。
今回のような2班2交替での操業にともなう時間外労働については、「つなぎ残業」として原則としては相殺対象とするとのことです(恒常的な時間外労働には含まれないとの考え方です)。
しかし、例えば「製鋼所などの高炉を用いている事業所で高炉の稼動を止めることが不可能な為24時間操業を余儀なくされる場合に、従来からの2班2交替を前提とした人員体制では時間外労働が発生しない3班3交代操業体制を組めなかった」という場合には、やむを得ず発生する時間外労働として相殺対象から除外したというケースもあるとのことであり、業務内容や生産設備によっては個別のケースでは相殺から除外することが認められる場合もあるようです。(機械設備を一旦停止してしまうと、再起動までに大変な時間やコストがかかって、著しく生産性が落ちてしまうという状況が必要なようです。)
いずれにせよ、避けられるのであれば2班2交替による時間外労働の発生は避けた方がよいでしょうし、どうしてもやむを得ない場合であれば除外を認めてもらうように申請窓口にて十分な説明を行うことが求められます。